Copilot

SharePointとCopilotを連携させたナレッジ活用

アドバンスド・ソリューション

目次

SharePointにためた社内の資料は、Microsoft Copilot(以下、Copilot)で探したり、要点をまとめて答えさせたりできます。このとき使われるのは、質問した人が見る権限を持つ資料だけです。

ただし、答えの質は、SharePointの資料がどれだけ整理されているかで決まります。古い版や重複を減らし、置き場所と項目(メタデータ)をそろえることが、先にやることです。

使い方は、「Copilotのチャットでそのまま聞く」「サイトごとのエージェントを作る」「Copilot Studioで社内向けの窓口を作る」の3段階があります。この記事では、それぞれの違いと、答えの質を上げる整え方、小さく始める進め方を、専門知識がない方にも分かるように解説します。

SharePointとCopilotをつなぐと、何ができるのか

資料を探す・要約する・比べる

Copilotは、SharePointにある資料を探して、要点をまとめて答えることができます。たとえば、「出張旅費の規程を、要点だけ教えて」「この製品の過去の提案資料を、3つ比べて」といった質問です。

答えに使われるのは、質問した人が見る権限を持っている資料だけです。ほかの部署の人しか見られない資料が、答えに出てくることはありません。

「ナレッジ活用」とは

ナレッジ活用とは、「人に聞かないと分からなかった知見」を、誰でも引き出せる状態にすることです。ベテランの頭の中や、個人のフォルダにあった情報が、SharePointに整理されていれば、Copilotに聞くだけで探せるようになります。

使い方は3段階:自社に合うものを選ぶ

段階1:Copilotのチャットで、そのまま質問する

いちばん手軽なのは、Copilotのチャットで、そのまま質問する方法です。追加の準備が少なく、すぐに試せます。

ここで、ライセンスによる違いに注意してください。Microsoftの公式ドキュメントによると、SharePointなどの職場のデータを、自動で使って答えられるのは、「Microsoft 365 Copilot(Premium)」のライセンスです。Microsoft 365のライセンスに含まれるMicrosoft Copilot Chat(Basic)では、職場のデータを使うには、ファイルをアップロードする、(OutlookやTeamsで)開いている内容を使う、従量課金のエージェントを使う、のいずれかが必要です。

段階2:SharePointのエージェント

SharePointのエージェントは、特定のサイトや文書ライブラリの資料を根拠に答える、専用のアシスタントです。サイトを開いて質問すると、そのサイトの資料の要約や、質問への答えが返ってきます。

作るには、そのエージェントを置くサイトの編集権限が必要です。使うには、Copilotのライセンスがあるか、組織でSharePointのエージェントの従量課金を有効にしている必要があります。答えに使われるのは、質問した人が見る権限を持つ内容です。

SharePointのエージェントの活用のイメージは、SharePointが「自ら働く」場所に。Copilot エージェントで変わる次世代の業務自動化とナレッジ活用でも解説しています。

段階3:Copilot Studio

Copilot Studioは、社内の問い合わせ窓口のようなエージェントを作るためのツールです。複数の情報源や手順を組み合わせられます。SharePointのURLを情報源にでき、ユーザー認証を設定すれば、質問した人が見られる内容だけを返します。認証の設定が必要な点が、ほかの2つとの違いです。

詳しくは、Copilot Studioの解説記事をご覧ください。

3つの違い(比較表)

Copilotのチャット SharePointのエージェント Copilot Studio
準備の手間 少ない サイトの編集権限があれば作れる 設計・認証の設定が必要
向いている使い方 まず試す・個人の調べもの 特定のサイトや資料に絞った質問 社内の問い合わせ窓口、手順の組み合わせ
必要なもの Premiumライセンス(職場データを自動で使う場合) Copilotライセンス、または従量課金 ユーザー認証の設定(SharePointを情報源にする場合)

Copilotが正しく答えるための、SharePointの整え方

どの使い方でも、答えの土台は、SharePointの資料です。次の4つを整えると、答えの質が上がります。

置き場所をそろえる

部署やテーマごとに、サイト・ライブラリを分けます。置き場所がばらばらだと、探す手間も、答えのぶれも増えます。設計の考え方は、ライブラリ設計の記事で解説しています。

古い版・重複を減らす

同じ内容の資料が複数あると、どれを根拠にするかで、答えが揺れます。最新版を決めて、古い版は整理しておきましょう。

項目(メタデータ)を付ける

資料の種類・対象・更新日などの項目を付けておくと、探しやすく、答えやすくなります。付け方は、メタデータ管理の記事をご覧ください。

ナレッジを「書き残す」仕組みをつくる

個人の頭の中にある知見は、SharePointのページなどにまとめます。書き残した知見が増えるほど、Copilotが答えられる範囲も広がります。作り方は、ナレッジベースの記事で解説しています。

安全に使うための前提:権限の整理

見せてよい範囲で答える仕組み

Copilotも、SharePointのエージェントも、質問した人が見られる範囲で答えます。つまり、SharePointの権限が、そのまま答えの範囲になります。

先に「見えすぎ」をなくす

もともとの権限が広すぎると、その範囲の資料は、答えに使われます。導入の前に、「見えすぎ」を洗い出して直しておくことが大切です。詳しくは、記事①「Copilot導入前に確認したいセキュリティと権限管理」をご覧ください。

小さく始めて広げる進め方

まず、1つの部署・1つのテーマで試す

たとえば、社内規程や、製品のよくある質問のように、問い合わせが多く、資料が決まっているテーマから始めます。

答えの質を確かめる

よく聞かれる質問を10個ほど用意して、答えと、示された出典が正しいかを確認します。Copilotの答えは、必ずしも正確とは限りません。出典を見て確かめる運用が大切です。

広げる前に、資料の更新ルールを決める

誰が、いつ、資料を更新するかを決めておきます。更新されない資料が増えると、答えの質も下がります。

まとめ

ナレッジ活用の成否は、「AIの性能」より「資料の整理」で決まります。整えた分だけ、Copilotが役に立ちます。まずは、1つのテーマで小さく試し、答えの質を確かめながら広げていきましょう。次に読む記事は、記事③「Copilot Studioによる社内問い合わせ対応の自動化」です。

よくある質問(FAQ)

Q1. SharePointの資料をCopilotで探すには、特別な設定が必要ですか?

A. Microsoft 365 Copilot(Premium)のライセンスがあれば、Copilotのチャットから、権限のある資料を探して答えられます。特定の資料だけを根拠にしたい場合は、SharePointのエージェントを作ります。

Q2. 見る権限のない資料の内容を、Copilotが答えてしまうことはありますか?

A. ありません。CopilotやSharePointのエージェントは、質問した人が見られる情報だけを使います。Copilot Studioも、ユーザー認証を設定すれば、同じように扱われます。ただし、もともとの権限が広すぎると、その範囲は答えに含まれます。

Q3. SharePointのエージェントは、誰でも作れますか?

A. そのサイトの編集権限がある人が作れます。使うには、Copilotのライセンス、または組織でのSharePointのエージェントの従量課金の設定が必要です。

Q4. Copilotの答えが間違っていることはありますか?

A. あります。Microsoftも、生成AIの答えは必ずしも正確とは限らないとしています。出典を確認する運用と、古い資料を整理しておくことが大切です。

Q5. まず何から始めればよいですか?

A. よく問い合わせが来るテーマを1つ選び、関係する資料の整理(古い版の削除・置き場所の統一)から始めるのがおすすめです。

参考情報