Microsoft Copilot Studio 新しいエージェント エクスペリエンスで何が変わる?「設計」から「指示」へ、Classicとの違いと選び方
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目次
はじめに
Copilot Studioをすでに活用されている方の中には、最近「新しいエージェント エクスペリエンス」という言葉を目にする機会が増えてきたのではないでしょうか。
MicrosoftはCopilot Studio に「新しいエージェント エクスペリエンス」を段階的に展開しています。これまでの「Classicエクスペリエンス」と並行して利用可能で、新規エージェント作成時にどちらを使うか選択できます。
本記事では、既存のCopilot Studioユーザーが乗り換えを検討する際に知っておくべき「違い・メリット・デメリット・選択基準」をわかりやすく整理します。
新しいエージェント エクスペリエンスとは?
新しいエージェント エクスペリエンスは、従来のCopilot Studioの設計思想を根本から見直した、次世代のエージェント開発インターフェースです。
Classicエクスペリエンスでは、開発者がトピック・フロー・分岐ロジックをノードとして積み上げ、会話の流れを細かく制御することが主流でした。新しいエクスペリエンスでは、この設計思想が大きく変わります。
「設計」から「指示」へ
最大の変化は、エージェントの作り方の根本的な転換です。
従来のClassicエクスペリエンスでは、会話フローをノードで「設計」する必要がありました。一方、新しいエクスペリエンスでは、自然言語でエージェントへの「指示」を書くだけで動作するようになっています。
たとえば「社内の質問に答えるエージェントを作りたい」という場合、Classicでは「質問カテゴリを判定するトピック」「各カテゴリのサブトピック」「SharePointから情報を取得するフロー」といった要素を順番に設計する必要がありました。新しいエクスペリエンスでは、目的・役割・参照すべきデータソースを自然言語で記述するだけで、AIが適切に推論して応答します。
これはCopilot Studioにおける大きな転換といえます。「AIをどう動かすか設計する」から「AIに何をしてほしいか伝える」へ、開発体験が変わります。
4つの統合モード
新しいエクスペリエンスのもう一つの大きな特徴は、開発プロセスの統合です。これまでCopilot Studioでは、以下の作業が別々の工程として存在していました。
- エージェントの構築(Build)
- 動作確認・テスト(Test)
- 品質評価(Evaluate)
- 本番後の監視(Monitor)
新しいエクスペリエンスでは、これらの4つのモードが1つの統合された画面で完結します。開発中にリアルタイムで評価結果を確認し、品質が担保できたらそのまま公開へと進むことができます。これにより、「作る→確認→直す」のサイクルが大幅に短縮されます。
GitHub Copilotハーネスと従量課金
新しいエージェント エクスペリエンスで作成するエージェントは、従来の標準ハーネスではなく、GitHub Copilotハーネスを基盤とします。ハーネスとは、選択したモデルとエージェントの間で動作するランタイムで、モデルを呼び出すタイミング、渡すコンポーネント、応答の解釈、ツールの実行などを制御します。新しいエクスペリエンスの自然言語中心の作成画面や、複数ステップの推論、ツール・スキル・メモリ、Officeファイルの作成・編集といった機能は、このハーネスによって支えられています。
重要なのは、課金がエージェントの公開後だけではない点です。Microsoft公式ドキュメントでは、GitHub Copilotハーネスを利用するエージェントやワークフローは、使用量に応じてCopilot Creditsを消費すると説明されています。課金対象には、実行時のLLMトークン、ナレッジやMCPを含むツール、ハーネス自体に加え、自然言語による作成、プレビュー、テスト、評価の生成・実行も含まれます。つまり、試作しただけで公開しなかったエージェントでも、作成・検証中にクレジットを消費する可能性があります。
また、GitHub Copilotハーネスの利用量は、利用者がMicrosoft 365 Copilotライセンスを持っていても、そのライセンスには含まれません。作成時と実行時の双方でCopilot Creditsが必要です。導入前には、対象環境でプリペイド容量と従量課金のどちらを使用するか、月間の許容消費量、利用状況を確認する担当者、上限到達時の対応を決めておく必要があります。
- 環境単位で管理する:検証用・本番用など環境の目的を整理し、環境ごとに利用可能なクレジットや超過設定を管理します。
- エージェント単位で上限を設ける:単一のエージェントが想定以上に消費しないよう、月間クレジット上限を設定します。
- 作成中から監視する:Copilot StudioのMonitorページやPower Platform管理センターで消費量を確認し、試作・評価による消費も含めて把握します。
- 事前に見積もる:実行頻度、処理の複雑さ、利用するモデル・ナレッジ・ツールを踏まえ、Copilot Credits見積もりツールで概算します。
Microsoft公式ドキュメント:Harnesses in Copilot Studio / 使用率に基づく請求の概要 / Manage costs for agents powered by the GitHub Copilot harness
Tools and Skills — エージェントの能力拡張
新しいエクスペリエンスでは、エージェントの能力を拡張するための「ツール」と「スキル」の概念が強化されています。
ツール(Tools)
ツールは、エージェントがアクションを実行するための手段です。外部APIの呼び出しや、Power Automateフローの実行などがこれにあたります。新しいエクスペリエンスでは以下のような多彩なカテゴリのツールをサポートしています。
- AIプロンプト:LLMを活用したテキスト生成・変換・要約
- Model Context Protocol(MCP):標準化されたAIツール接続規格
- Computer Use:デスクトップ・Webアプリケーションの操作自動化
- Power Automateフロー:業務フローとの連携
スキル(Skills)
スキルは、再利用可能な「構造化された動作」を定義する仕組みです。一度定義したスキルを複数のエージェントで共有・再利用することで、開発効率と一貫性が向上します。
Classicエクスペリエンスではトピック単位の再利用が主流でしたが、新しいエクスペリエンスのスキルはより柔軟で、エージェント間での機能共有が実現しやすくなっています。
新 vs Classic 機能比較表
新しいエクスペリエンスとClassicエクスペリエンスの主な違いを、以下の表にまとめました。乗り換えの検討材料としてご活用ください。
| 比較項目 | 新しいエクスペリエンス | Classic エクスペリエンス |
| 設計アプローチ | 自然言語の指示・AI推論を中心に構築 | トピック・フロー・条件分岐ノードを中心に構築 |
| UI構成 | 構築・テスト・評価・監視の4モードが1画面に統合 | 各工程が独立したタブ/画面に分散 |
| 会話制御 | AIが推論して動的応答を生成(柔軟) | ノードで会話フローを明示的に定義(厳密) |
| Microsoft 365連携 | Microsoft IQによるSharePoint・Teams等のM365データへの高度な推論をネイティブサポート | コネクターを介した連携(設定がやや複雑) |
| 評価・監視 | エージェントの作成・編集画面で、開発しながらリアルタイムに品質を確認できる | 評価・監視は独立した工程として実施 |
| ツール拡張 | AIプロンプト・MCP・Computer Useなど多彩なツールカテゴリをサポート | Power Automateフロー・コネクター中心の拡張 |
| エージェント間連携 | オーケストレーション品質が向上。複数エージェントの協調が得意 | サブダイアログによる連携(設計が複雑になりやすい) |
| スキル(再利用) | 再利用可能なスキルとして構造化された動作を定義可能 | トピック単位での再利用(柔軟性に限界あり) |
| 既存エージェントとの互換性 | Classicエージェントへの変換不可(一方通行) | 新エクスペリエンスへの変換不可(一方通行) |
※ 上記の情報はMicrosoftの公式ドキュメントおよび技術情報をもとに整理しています。機能の詳細や対応状況は、最新の公式情報をご確認ください。
Microsoft公式ドキュメント:エージェントの概要 – Microsoft Copilot Studio | Microsoft Learn
新しいエクスペリエンスのメリット
新しいエクスペリエンスでの作成を検討する上で、特に注目すべきメリットを整理します。
| メリット一覧 |
| ✔ 自然言語だけで設計できる 複雑なノード設計が不要になり、専門知識がなくても直感的にエージェントを作れます。 |
| ✔ 開発サイクルが大幅に短縮 構築・テスト・評価・監視が1画面に集約されているため、品質確認のための画面切り替えが不要です。 |
| ✔ Microsoft 365データとの高度な連携 SharePoint・Teamsなどのデータに対してAIが推論でき、情報検索エージェントが簡単に実現できます。 |
| ✔ ツール拡張の幅が広がった MCP(Model Context Protocol)やComputer Useなど最新のAIツール規格に対応し、エージェントの能力を大幅に拡張できます。 |
| ✔ オーケストレーション品質の向上 複数エージェントの協調動作がより洗練され、複雑なタスクを分散処理するシナリオにも対応できます。 |
特に既存ユーザーにとって大きなメリットとなるのは、「評価と開発の統合」です。Classicでは品質評価を別途実施する必要があり、リリースまでのリードタイムが長くなりがちでした。新しいエクスペリエンスでは、開発しながらリアルタイムに品質を確認できるため、反復改善のスピードが劇的に向上します。
また、Microsoft 365をすでに活用されている組織にとっては、SharePoint・Teamsのデータに直接推論でアクセスできる点も魅力です。既存のM365投資をAIエージェントに直結させやすくなっています。
新しいエクスペリエンスの注意点
一方で、既存ユーザーが乗り換えを検討する際には、以下の注意点も十分に把握しておく必要があります。
| 注意点一覧 |
| △ Classicエージェントへの変換は不可 一度新しいエクスペリエンスで作成したエージェントはClassicに戻せません。両方向への移行パスが存在しないため、慎重な選択が必要です。 |
| △ 決定論的な制御が難しい AIの推論に依存するため、会話フローを厳密にコントロールしたいシナリオ(法的な必須フロー等)では、Classicの方が適している場合があります。 |
| △ 一部機能は未対応 リリース時点では、Classicエクスペリエンスの一部機能が新しいエクスペリエンスに未移植です。既存機能への依存度が高い場合は事前確認が必要です。 |
| △ 学習コストが発生する 既存のCopilot Studioユーザーにとっては、UIと設計思想が大きく変わるため、新しいワークフローへの慣れが必要です。 |
| △ 作成・テスト段階から従量課金の対象 新しいエクスペリエンスはGitHub Copilotハーネスで動作し、公開後の実行だけでなく、構築・プレビュー・テスト・評価でもCopilot Creditsを消費します。検証環境でもコスト管理が必要です。 |
特に重要なのは「移行パスが存在しない」点です。新しいエクスペリエンスで作成を始めたエージェントは、Classicに戻すことができません。新規作成から順次新しいエクスペリエンスを試す段階的アプローチが現実的です。
まとめ
Microsoft Copilot Studioの新しいエージェント エクスペリエンスは、「トピックを設計する」から「自然言語で指示する」への大きな転換を意味します。
既存ユーザーにとっては、設計思想の変化に慣れるための学習コストが発生しますが、一方で開発サイクルの短縮・M365連携の強化・ツール拡張の幅の広がりなど、多くのメリットがあります。
ただし、いちど新しいエクスペリエンスで作成したエージェントはClassicに戻せないため、焦らず段階的に取り組むことが重要です。まずは新規エージェントで新しいエクスペリエンスを試験的に導入し、知見を蓄積しながら、用途に応じた使い分けを段階的に広げていくことをお勧めします。
AI技術の進化とともに、Copilot Studioも進化し続けています。新しいエクスペリエンスへの理解を深め、組織のAIエージェント活用を一段階引き上げるきっかけとしていただければ幸いです。
Copilot Studioの新しいエクスペリエンスを、自社の業務でどう活かすべきか迷っていませんか?アドバンスド・ソリューションでは、導入検討からエージェント設計・構築まで、最適な活用方法をご提案します。ぜひお気軽にご相談ください。
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